tokyo-station-100th-anniversary-suica-story.jpg
tokyo-station-100th-anniversary-suica-story.jpg

2026年3月頃に入って、突然自宅を大掃除し始めた人はいるだろうか。

その中には、かつて「東京駅開業100周年記念Suica」を購入し、
「記念だから」と大切にしまい込み、そのまま行方不明にしてしまった、
私のような人間も、一定数いらっしゃるかもしれない。

2026年に入ってしばらくすると、
「一度も利用のない記念Suicaは、2026年3月31日で失効」
という情報が、ニュースなどでも流れ始めた。

10年というのは、長いようで、本当に短い。

我が家はその間に2度の引っ越しをした。
「特別なものだから」と、すぐに分かる場所に置いておいたはずなのに、
年月というのは残酷だ。

一番ありそうだった戸棚を開けると、どれも「特別なもの」ばかりになっていた。
そして、まだ開けていなかった段ボールを恐る恐る覗いてみると、
全部「特別なもの」でギュウギュウになっていた。

積もりに積もったチリが、やがて物理変化や化学変化を経て、
岩になってしまうのと同じだと言ったら、言い過ぎだろうか。


仕方なく、可能性のありそうなところを順次探し始めた。

「ちょっと探せば出てくるだろう」

そう思って手近なところから何となく探し始めて、早1ヶ月が経っていた。

これは、まずい。

計画的にやった方が良さそうだ。


我が家には、
巨大なテレビ台を、作り付けの本棚に押し付けてしまい、
“開かずの間”になっている場所があった。

引っ越しのドサクサでそうなったのだが、
今となっては何とも悔やまれる。

「記念のものだから」と、そこに押し込めた気がする。
いや、絶対にそうだ。

この裏に、記念Suicaはある。

そう確信し、家族の休日に合わせて、力仕事を決行した。


一言で言えば簡単なのだが、これが何とも大変だった。

巨大なテレビ台は、いくつもの引き出しが連なった構造になっている。

それを動かすためには、

① 引き出しの中の本をすべて出す
② 出した本を置くスペースを確保する
③ そのために部屋の中をさらに動かす
④ すると、トイレに行くのも困難な“ダンジョン状態”になる

そして気づく。

⑤ そもそも、テレビ台の前に敷かれている電気カーペットを動かさないといけない
⑥ その上のテーブルや椅子を動かさないといけない
⑦ テーブルの上や周辺の「固定化された物たち」も、どかさないといけない

……ここまで来ると、
我が家の“平時の状態”が、何となく想像できるかもしれない。


そんなこんなで、
テレビ台の移動だけで、丸一日かかった。

そして・・・

ようやく辿り着いたその“開かずの間”。

果たして、そこに、記念Suicaは・・・なかった。

費やした労力を思えば、ただただ「敗北」感に打ちひしがれるしかなかった。


この一件で、気づいたこと、それは、

「特別なものほど、見えなくなるらしい」

ということだ。

大切にしようとして、
安全な場所にしまう。

その場所はたいてい、

・奥まっていて
・動かさなくてよくて
・日常から切り離されている

つまり、
“記憶からも切り離される場所”でもある。

つまり、結局、「忘れてしまう」、のだ。


私たちは、大事なものを守ろうとして、
結果的に見失っていることが多いかもしれない。

そして長い年月が流れ、〆切を突きつけられて初めて、ようやくそれを探し始める。


今日を含め、あと3日。

もし今、同じように
「記念Suicaが見つからない」と焦っている方がいたら、

それはあなただけではありません。

そしておそらく、

「ここにあるはず」と思っている場所には・・・残念ながら無いかも。


さて、では次はどこを探すべきか。

それはまた、次回に。

※以前には、高齢の親のタクシー料金についても書いています。生活の中で「見落としやすいお金」の話として、あわせて参考になればと思います。