高齢者施設などに入居した家族あてに、
これまでと同じように選挙のお知らせが届くことがあります。
封筒を開けて、
多くの人がまず思うのは、
「え、これ、どうすればいいんだろう?」
という戸惑いかもしれません。
慌てるほどではないけれど、
何もしないのも違う気がする。
ちょっと思考停止してしまう、そんな類いの話です。
「持って行けばいい」という話でも……ないですよね。
施設が近かったりすれば、
同居する家族がその選挙のお知らせを
施設まで持って行くことを考えることも、
現実的にはあり得るかもしれません。
けれど、大抵は、
そこで一度立ち止まることになるでしょう。
「これを、認知症の親に渡してどうする?」
「投票の意味を、きちんと理解できるだろうか」
「かえって混乱させてしまわないだろうか」
「施設に迷惑をかけてしまうかも……」
考え始めると、
単に「行けばいい」「渡せばいい」という話では、
なくなってきます。
さらに、
施設入居者あてのその「選挙のお知らせ」を手にした家族が、
高齢の配偶者であった場合、
判断はまた、少し違う形で動くこともあります。
高齢の配偶者の場合、判断は違う形で動くこともある
判断を担うのが高齢の配偶者である場合、
この「立ち止まる判断」は、
必ずしも簡単ではありません。
長年連れ添ってきた相手だからこそ、
「これまで通りでいいはずだ」
「やれることは、やっておきたい」
そんな思いが、先に立つこともあります。
判断が間違っているわけではありません。
ただ、これまでと比べて、立場と状況が違う。
それだけのことだと思います。
わが家の場合
たとえば、わが家でも、
施設に入っている母あてに
選挙のお知らせが届いたことがありました。
高齢の配偶者である父にとって、
母への、そのお知らせは、
「これは、オカアサンへ手渡さなければならないものだ」
と、ほぼ迷いなく受け止められたようでした。
子どもである自分が、
その行動を制御する方向で話をし出すと、
心配するな、とばかりに
「タクシーが使えるから大丈夫」と、
すでに行く前提で考えている様子でした。
若い頃から、
選挙は国民の大切な権利だと考えてきた父にとって、
「選挙は大事なものだ」
「ちゃんとしなければならない」
という気持ちからの反応だったのだと思います。
実は、外に連れ出さなくても投票できる制度があります
施設に入所している方には、
外出せずに投票できる
不在者投票(施設内投票)という制度があります。
多くの施設では、
選挙管理委員会と調整のうえ、
施設内で投票できる仕組みが用意されています。
わが家の場合も、
施設に確認したところ、
外出せずに対応できることが分かりました。
それが、本人にとっても家族にとってもいちばん安全な選択
寒かったり暑かったりする時期の外出、
慣れない移動、
慣れない介助。
今までと同じようにしようとすると、
転倒や体調悪化のリスクが高まることもあります。
けれど、
投票は国民の権利だと大切に考えてきた人に、
その行為を諦めてもらう理由を並べる、
という形には、どうしても違和感が残ります。
迷ったときは、まず施設に聞いてみる
選挙のお知らせが届いて、
「これ、どうする?」と感じたら、
まずは施設に
「本人あての選挙のお知らせが届いたのですが」
と伝えてみてください。
それだけで、
多くの場合、判断はつきます。
おわりに
選挙のお知らせを前にして、
立ち止まって考えること自体、
すでに十分、
社会や家族との関わりを大切にしている行為だと思います。
無理に動かなくても、
ちゃんと用意されている道がある。
そのことが、もう少し知られていれば・・・
そんな気持ちで、ここに書きました。
